各回のセッションは独立したテーマで進むため、どの回からでも参加できます。 このページは、当日の流れをあらかじめ掴んでおくためのものです。 初めての回の前に一度読んでおくと立ち上がりが速くなりますし、何回か参加したあとに 読み返すと、各回の位置づけが見えやすくなります。
パソコンの準備(対話型AIサービス・Colab・APIキー)は 開発環境の準備にまとめています。当日までに一度目を通してください。
プロジェクトそのものの背景
なぜ「AIツールの活用」ではなく「AI前提の事業戦略」なのか——その背景と狙いは プロジェクトサイトの背景と狙いに まとめてあります。ここでは繰り返しません。
AIの「3つの使い方」を一気に駆け上がる
セッションでは、AIの使い方を3段階で体験します。1回のセッションの中でこの3段階を 段階的に進み、「個人がAIと対話する世界」から「AIを事業の仕組みとして組み込む世界」への 転換を体感します。
Step 1:AIと対話する
ご自身の事業・業界の文脈で課題を言語化し、AIに考えさせてみる。人間が書いたものと AIが出したものを比較して、補完関係を確かめる。「なんとなく相談」ではなく、背景と 目的を言語化してAIに渡すことで返答の質が変わることを実感します。
Step 2:AIに作らせる(Vibe Coding)
AIに「こういうプログラムを書いて」と自然言語で指示し、動くものを作る。例えば 「世界のニュースを自動で集めてくるプログラム」をAIとの対話だけで作り上げる。 プログラミング経験は不要です。用意された指示文をAIに渡し、返ってきたコードを Colabに貼って実行します。
Step 3:システムからAIを呼び出す
プログラムの中からAIを呼び出して、大量のデータを自動処理する仕組みを作る。例えば 「集めたニュース100件を、自社の各部署の視点でAIに重要度評価させる」処理が自動で回る。 ここで「個人の便利使い」から「事業に組み込める仕組み」に転換します。
どの段階でも最も重要なのはプログラミングの知識ではなく、「何のためにこれを作るのか」 を判断する力です。AIにコードを書かせること自体は手段であり、そこに事業の文脈で意味の ある目的を設定し、出来上がったものの質を業界経験に基づいて判断してフィードバックする ——これが参加者の役割です。
さらにその先には、AIにシステムそのものを作らせる段階があります。AI駆動開発の ツールを使うと、対話やコード片の生成にとどまらず、自動実行やアプリ化まで含めた 仕組みを一気に組み上げられます。セッションでは、この段階の進め方も実例とともに 紹介します。
当日の進み方
各セッションは約2〜2.5時間+交流タイムで、毎回独立したテーマを扱います。進め方は テーマに応じて柔軟に変わりますが、おおむね以下のような流れです。
まず、その回のテーマが事業戦略としてなぜ重要かという問いと文脈が提示されます。 参加者自身の業界・役割で課題を言語化し、AIにも同じ問いを考えさせるところから始まります。
次に、用意された指示文やサンプルコードを使いながら、段階的にAIで動くものを作って いきます。AIとの対話で始まり、コードの生成、APIを使ったシステム連携、さらに自動化や アプリ化へと発展させていきます。一つのテーマに対して複数の角度からアプローチし、実装の バリエーションを体験します。
随所で、作ったものをもとに戦略的なインパクトを考えます。「これが自社にあったら何が 変わるか」「他業界ではどう応用できるか」「産業構造の転換にどう位置づけられるか」。 ツールの便利使いで終わらせず、戦略の文脈に接続することを重視します。
回によっては、参加者がブラウザから同時に参加するリアルタイムの対抗戦・ゲーム形式の 体験を行います(AIが進行・審査を担い、他の参加者やAIの発想をその場で見比べられます)。 特別な準備は不要で、当日に表示名を入力して参加するだけで始められます。
終了後に共有される資料一式(映写資料、サンプルコード、指示文、発展版コード・アプリの デモ、自習ガイド、録画)で、当日に消化しきれなかった部分や、ご都合で参加できなかった 場合の追体験もできます。
繰り返し出てくる見方
セッションでは、作ったものを毎回「それが事業戦略にどういうインパクトを持つか」に 接続します。そのとき繰り返し参照する見方が2つあります。
「堀」の中身が変わる
企業が競争で勝つには、他社にない独自の価値を顧客に提供し、それが簡単に真似され ない状態を作ることが基本です。戦略論ではこれを「堀(モート)」——城の防御壁に なぞらえます。
かつては「優れたアルゴリズムを持っていること」自体が大きな武器でした。しかしAIの 民主化が進み、誰でも高度なモデルをAPI一本で呼び出せるようになった今、アルゴリズム そのものの競争優位は急速に薄れています。代わりに価値が高まるのは、独自のデータ (自社にしかない情報資産)、顧客との関係(信頼と接点の蓄積)、運用経験 (仕組みを回して初めて得られる知見)といった、簡単にはコピーできない資産です。
「自社は何を武器に戦うのか」「その武器はAI時代にも通用するのか」「AIによって新たに 作れる武器は何か」——この問いが、議論で繰り返し立ち返る場所になります。
参考:VRIO分析
戦略論の代表的なフレームワークに、自社の経営資源を4つの観点で評価するVRIO分析が あります。Value(価値があるか)、Rarity(希少か)、Imitability(真似しにくいか)、 Organization(活かせる組織か)。AI時代には、この4つのうち特にImitability (模倣困難性)の中身が大きく変動します。
5 × 5 × 5 の枠組み
AIが事業に与えるインパクトを、実装方法(第1層)・組織変革(第2層)・戦略転換(第3層)の 3つの層で捉え、それぞれに5つの切り口を設けた15の領域です。セッションの冒頭で 「今日は[1A]の領域を扱います」といった形で参照します。
全体像を暗記する必要はありません。領域マップから、その領域を扱った回と、 その回の発言を引いた日々の読み解きへ入れるようにしてあるので、気になったときに 辿ってください。枠組みそのものの説明は 設計思想に あります。
セッションの外へ
各回のあとは、任意で取り組める「挑戦セット」(コード不要の戦略レーンと、 手順書つきの実践レーンの2レーン × 3段階〈守・破・離〉)と、記録を持ち寄る 「挑戦ボード」(参加者コミュニティ)で、学びを次の一歩につなげられます。 どちらか一方の一段だけでも立派な挑戦で、途中まででも歓迎です。次回冒頭で寄せられた 記録を紹介し、参加者ご自身の発表枠(5〜10分・先着)もあります。
日々の読み解きも、この「セッションの外」の一部です。その日のビジネス・AIニュースを、 過去のセッションで実際に語られた論点につないで読んでいます (今日の読み解き)。セッションで扱った視点が、日々の出来事の読み方として どう効いてくるかを確かめる場所として使ってください。
知らない言葉が出てきたときは用語集をご参照ください。