テキストから物理世界へ(第4回の位置づけ)
セッション発言録 第4回・「導入・テーマ」の節「初回は認知容量を超えていくという話、2回目は戦略をデザインする話、3回目は組織と暗黙知の話をしてきました。今日は物理世界を扱う ― 具体的には写真や地理のデータを扱います。物理世界はとても広いので、実際に手を動かして感じられて、かつ戦略にも反映できそうなテーマから着手します。」
セッション発言録 第4回・「導入・テーマ」の節「初回は認知容量を超えていくという話、2回目は戦略をデザインする話、3回目は組織と暗黙知の話をしてきました。今日は物理世界を扱う ― 具体的には写真や地理のデータを扱います。物理世界はとても広いので、実際に手を動かして感じられて、かつ戦略にも反映できそうなテーマから着手します。」
セッション発言録 第4回・「導入・テーマ」の節「これを使って新事業を簡単に作れそうだと思いつつ、でも新事業を作れるということは他の人にも作れるんじゃないか。他社に売れるということは、その社内でも作れるんじゃないか。結局そこへ行き当たるわけです。簡単になったからこそ有象無象が参入する世界になる。」
セッション発言録 第4回・「導入・経営会議」の節「半年前・1年前には独自価値があってお客さんに喜んでもらえたものが、この半年でAnthropicやGemini、OpenAIが公式に出してきたり、先行する会社が標準の立場を取ってしまって、今更もう勝てなくなる。30年前にインターネットサービスを考えたとき『それAmazonやGoogleが作ったら負けるよね』と言っていたのと同じことが、いま起きる。」
セッション発言録 第4回・「導入・テーマ(事前資料と同文)」の節「これらの問いは、誰も経験したことのない変化ゆえに、誰も経験的な答えを持っていません。先例がない、地図がない中で、手探りで確かめながら進むしかない。ただ、LLMの登場からもうすぐ4年、この手探りの経験を蓄積してきた人と経験ゼロの人の差が、そろそろ分かれつつある頃ではないでしょうか。」
セッション発言録 第4回・「AIの進化地図」の節「画像認識は昔からできました。CNNで、猫の写真を見て猫とラベルを付けることはできた。今日新しくできることは、これは猫だと分かる話ではなくて、LLMに目をつけたようなVLMが『この写真からこんなことが考えられる』と応える。認識することと考えることが、もう1セットになっているんです。」
セッション発言録 第4回・「AIの進化地図」の節「音声認識も10年前からありました。でも当時のスマートスピーカーは、単純に言葉を単語に置き換えられただけで、思考はついていなかった。いまのマルチモーダルは、音声を吹き込んだ時点で文字起こしするだけでなく、そこからこういうことが考えられる、という脳がついている。」
セッション発言録 第4回・「AIの進化地図」の節「昔からロボットはありましたが、あの世界は基本的にコンピューターに書かれた通りに自動制御していた。今やですね、考えた通りに動くということが可能になってきている ― これが大きな変化です。」
セッション発言録 第4回・「Sense→Think→Act」の節「参加者にロボットを作っている会社や自動運転の方ばかりではないと思うので、あらゆる分野で使える話として ― どんな世界でも現場を理解する、お客さんを理解する。そういうプロセスは無限にあります。毎日店が動き、オフィスが動き、工事が動いている。それを誰かが考えて、意思決定したものを現実世界に返していく。このSense・Think・Actの3段階自体は、あらゆる業種で共通に生じるものです。」
セッション発言録 第4回・「Sense→Think→Act」の節「AIがどんどんループを回して動いていく世界になる。人間とAIが一対一で対話するのではなく、AIが回していく。でも回すこと自体に意味があるのではなく、その中に適切なタイミングで人間が入っていかなければいけない ― そこが大事です。」
セッション発言録 第4回・「戦略への視座」の節「センス・シンク・アクトのループをどのくらい早く回せるのかが、もう勝負になってくる。競争優位の源泉が、今までとは違うところに移っていく。そしてデジタルとフィジカルをどう組み合わせればうまくいくのか ― 紙の上では分かるけれど、実際どんな姿になるかは作らない限り分からない。作って『この世界ならいける』と早めに見極められるかの勝負です。」
セッション発言録 第4回・「戦略への視座」の節「『データ優位』の定義が変わる。蓄積済みのテキストではなく、現場に眠る映像・音声・図面が競争資産になる。デジタルで出遅れた『現場を持つ企業』にこそ反撃の機会がある。製造・物流・医療・建設など、IT化しにくいとされた産業がAIの主戦場になり、モデルは共通化へ向かい、価値は独自データ×業務文脈の側に移る。」
セッション発言録 第4回・「ストーリー(経営会議)」の節「試作は数週間・数百万円で形になりました。数年前なら億単位・年単位の案件です。ただ正直に言えば、チャットAIに聞くだけの姿と、業務が回る仕組みとの間には、思った以上の段差がありました。そこを越えたものが、いま手元にあります。」
セッション発言録 第4回・「ストーリー(経営会議)」の節「冷静に見よう。同じものは競合もすぐ作れるし、大手は結局、自分で作る道を選ぶだろう。買ってくれるとすれば中堅中小がひしめく業種か。だが1社いくらで売れて、何社取れる?『AIで作れるもの』の値段は、下がり続けているぞ。」
セッション発言録 第4回・「ストーリー(問いの設定)」の節「作れるか ― 参入に必要なものが何から何へ変わったか。勝てるか ― 優位の源泉はどこに移ったか。内製に勝るか ― 顧客が内製できる時代に、売り手として何を担うのか。続くか ― 一時的な優位と構造的な優位の分かれ目はどこか。どれも、この企業だけの話ではありません。」
セッション発言録 第4回・「ストーリー解説」の節「こういうものを作ると、最初はまず生産性改善です。残業しなくてよくなる。次のステップは、今までできなかったことができるという独自価値 ― コーディネーターが思いつかなかった組み合わせまで提案できる。3つ目のステップが、それを外販できるという話。両方ともあらゆる会社で使えるものなので、外販すれば、いまの会社の10倍の規模に成長する可能性だってある。」
セッション発言録 第4回・「ストーリー解説」の節「AIサービスを大手向けに『こんなのがあります』と持っていっても、特に大手企業ではいま、社内のAIサービスは全部Anthropicか OpenAIかで内製しよう、という話が始まっていて、その結論が出るまで買えないんだよね、という話にされてしまう。この内製が、いま商売の壁になっている。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン①場所探し」の節「この写真は国土地理院が日本全国のデータをタダで公開してくれているものです。Google Mapsでも同じことはできますが、まず有料であることと、商用利用がグレーであること。国土地理院はデータ取り放題なので、今回はこちらを使っています。更新はGoogleほど新しくはないですが、いずれにせよ無料でいくらでも使えます。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン①場所探し」の節「1枚を見るのにほんの短時間で見ていますよね。軽量モデル(Flash-Lite)を使っているからです。重いモデルにすると1枚につき何十秒とかかる。でも、こういうディテールこそが、実際に使えるものになっているかどうかの肌触りになるわけです。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン①場所探し」の節「最初の選び方次第で厳しく条件を取ってしまうと、うまく候補が選べないこともある。僕も30回繰り返したのに1か所しか条件に合わないと言っている。この辺がリアリティですよね ― どこまで作ればこのロケーションファインダーが役に立つのか、という。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン②暮らし提案」の節「カタログは860点あって、1点あたり100文字ぐらいなので、全体で7万文字分。1点30秒で見ても7時間かかる分量です。これは人間が読める量を超えている。それをAIにさせてみましょう、という話です。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン②暮らし提案」の節「1回で70円ぐらいかかりますが、画像を書くところで70円中50円使っていて、画像を読むところは、あれだけ大量に読んでも5円だけなんですね。ビジネスとしてのスケーラビリティとして、大量の画像を読むのは実は結構安い。もっともっと大量の画像を読ませたって、ビジネスとして成り立つんだというところが見えてくる。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン②暮らし提案」の節「最初は適当に書かせて自分で実行してみて、ここは時間がかかりすぎたからテストしてみて、とお願いして、テスト用のコードを書かせて、いろんなモデルで画像読み込みのスピードと精度を全部測った。その上でFlash-Liteでも画像読み込みは十分クオリティが出ていて、速くて安いと判断して選んでいます。」
セッション発言録 第4回・「議論の中で」の節「同じようなものを2023年頃に『AIでこんなことができます』と外販していた覚えがあって、1000万円ぐらいで。当時はエンジニアリングとデザインが分かれば作れるけれど素人には作れないものだったので、その値段で売れたんです。今はもう作れてしまいますよね。もう売れない。」
セッション発言録 第4回・「議論の中で」の節「前提そのものをひっくり返すような発想は、AIと壁打ちしていても出てこない世界ですよね。AIは指示者にちゃんと追随するように作られている結果、そういう反転の発想は思いつきもしないし、提案もしてくれない。そこがある種、人間としての独自価値になる。」
セッション発言録 第4回・「議論の中で」の節「作るのはめちゃくちゃ大変で苦行です。一方でフィードバックを返すのは、その時間だけで済むので簡単だし、受け取った側にとってはとても価値がある。人にフィードバックを与えるのは生産性が高くて、短い時間で役に立てる楽しい時間なんです。だから早めに持っていくのが一番おすすめです。」
セッション発言録 第4回・「振り返り(参加者の感想への応答)」の節「『皆さんの感想をもとに進化している感じがする』という声をいただきました。これがある種、リアルワールドへの接地なのかもしれないですよね。机上の設計は作れるけれど、実際に使っていただいて、感想をいただいて、それをもとに変わっていく。それがまさにループです。感想の集計自体が、ものすごく早くできるようになった分だけ。」
セッション発言録 第4回・「次回案内」の節「第5回は戦略をどう作るかをもっとディープに。小売業あたりを題材にすると取り組みやすいかなと。AIが当たり前になったときどんな戦略を考えるべきか、可能性は山ほどあるので、自分個人で考える段階、AIと対話的に深める段階、そして仕組みで100回でも200回でもアイデアを出させる段階を比べたい。第6回は、AIをどう使うかは人によって全然違うはずなのに、他の人がどう使うかは見えない ― 最初にどう問い、返ってきた反応にどうフィードバックを返して構想を磨くか。じっくり長文を書く人もいれば、短いサイクルで回す人もいる。隣の人が持っているAI戦略ノウハウをお互いに見える化できたら面白い。10分間の壁打ちを折れ線グラフで可視化して、スパート型か長距離ランナー型か、どこに良いものへたどり着くノウハウがあるのかを見られたらと構想しています。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン①(手元のAIで試す)」の節「手元のAIに聞くと、ある程度ストーリー立てて考えて提案してくれます。とはいえ、基本的にはテキストで考えているので、インターネット上にあるあらゆるテキストを読んだ上で考えている。だから誰も知らない穴場までは提案してこないんです。誰かがブログに書いているような、ある程度有名なものが提案されてくる。」
セッション発言録 第4回・「ハンズオン①ロケーションファインダー」の節「こんなことは昔は絶対にできなかった。何千万円、何億円かけても開発できなかったことが、ほんの数週間でできる。ただしこれを作るには、AIにどう認識させるか、どうズームさせるか、裏側で相当な工夫をしています。皆さんがさっき手元で一回の指示文で作ったものが、同じレベルに一日でたどり着けるわけではない。その難しさは、続きを作ろうとすると気づいていただけると思います。」
セッション発言録 第4回・「議論の中で」の節「誰でも作れるように見えて、実際に値段をつけて営業してやろうというところまで挑戦する会社がどこも出てこないのであれば、最初にやったもの勝ちかもしれない。インターネットも、今から思えば誰でも作れたと言うけれど、結局アマゾンを作ろうと思ったのはジェフ・ベゾスだけだった。徹底してやり切ったからこそ、というものかもしれません。」
セッション発言録 第4回・「手を動かした後の議論」の節「地図のほうはオープンデータなので誰でもできる。でも暮らし提案のほうは、顧客からデータをいただけるという関係性があるからこそ、他社にはできないものができる。独自データかどうかという観点がありますね。一方で、独自情報があるがゆえに ― 誰かにとっての機密情報だと ― 売りにくくなるという面もある。」