AIから見た自分のキャッチコピーを、まずAIに作らせた
短い肩慣らしとして、参加者はAIから見た自分のキャッチコピーをAIに作らせた。AIと共に考えるということを、まず自分自身を題材にして体験する入り口になった。
短い肩慣らしとして、参加者はAIから見た自分のキャッチコピーをAIに作らせた。AIと共に考えるということを、まず自分自身を題材にして体験する入り口になった。
参加者は、業界の大手、アプリを手がけるテック企業、AIネイティブの新興企業という3つの陣営のどれかに立ち、AI時代の戦略案を入力した。入力のたびにAIが評価し、利用者や行政、AIの提供企業といった利害関係者の反応をAIが演じ、実況も入った。
参加者の戦略案の最終審査は、公平を期してClaude・GPT・Geminiの3つのAIが担った。問われたのは、AIで効率が上がる程度ではなく競争の原理そのものを変えたかで、ほかに戦略のまとまり、勝ち続けられるか、実現の筋も見られた。
進行も審査も画像もAPIでAIが動かすこのゲームは、チャットのAIと構想を練り、引き渡しの文書にまとめ、Claude Codeに実装させて3〜4日で作られた。もう一方は仕事の合間に約1週間。10個ほどの直しが全部反映され、数週間かかった往復が30分ごとになる。
2つ目のゲームでは、AIが作った架空だが本物らしい、年代も暮らしも違う顧客たちに聞き取りをしながら、参加者は事業案を練った。書き出した構想をAIが読んで顧客として答え、市場の声もその場で流れてきた。
参加者は、キャッチコピー、チラシ、スマホ画面の試作、イメージ画像、絵コンテをその場でAIに作らせ、良いと思ったものを事業案に採り入れていった。終わると、AIの審査員が案を評価した。
案を出し、目に見える形にし、顧客に聞き、試作して磨き直す。新しい事業を考える一連の流れが、短い時間のうちに驚くほどの速さで回った。付箋を貼り替えながら議論するやり方とは、まるで別の速さだった。
2つ目のゲームでは、参加者が一斉に使ったことで、審査を担うAIが一時的に詰まる場面があった。AIで作った仕組みを大勢が同時に使うと何が起きるかを、その場で知る生きた教材になった。
ゲームのあと、参加者は配られた指示文を手元のAIに渡し、自分の業界でAIを前提に戦略がどう転換するかのシナリオを作らせた。ある程度賢いモデルなら、単なる効率化にとどまらず、産業そのものが本質的に変わる筋を返してくる。
シナリオの脅威は分かっても、自社の能力や社風、人員構成を考えると簡単には動けない。その壁を前に、どうすれば少し前に進めるかと問い直すと、今の延長ではなく、未来から逆算して会社を作り変える、より現実味のある計画が返ってきた。
ゲームと同じ流れを手元のAIでたどる指示文を持ち帰った。架空の顧客像と顧客の物語を描く、事業案を計画に落として磨き込む、Claude Codeで試作品を作る、の3つで、具体的に書けばここまでできる、という手応えを自分で確かめられる。
前半の対抗戦では白紙から戦略を考える難しさを、後半の事業デザインでは道具が足場になって発想が湧く感覚を味わった。2つを続けて経験したことで、AIをどこに足場として置くかで、人の考えやすさも成果もまるで変わることが、実感として残った。
インターネットの普及期を全員で振り返った。旅行会社もCDレンタル店もこぞってデジタル化したが、販売経路だけをネットに移した会社は淘汰され、ネットを前提にまったく違う商品や体験を組んだ会社が勝った。AIで効率化するだけの会社と、AI前提で事業を作り直す会社を見分ける物差しになった。
毎日の上位100件を30日分貯め、そこから世界のビジネスとAIの上位10件を選んで、参加者は知っている・気になるをその場で投票した。SpaceXやAnthropicの株式上場、AIモデルの公開が一部の地域に限られた場合の安全保障上の意味などが話題に上った。手作業なら大変な集計が一瞬で回った。
業界の大手、アプリを手がけるテック企業、AIネイティブの新興企業という立場の違う陣営の戦略を、3つのAIの審査で並べて比べた。結果は既存の大手の陣営が勝った。お題の業界は差し替えられ、小売・金融・医療・物流・エネルギーなど、どの業界でも同じ構図で戦略を比べられる。
脅威が分かっても、自分一人では会社は変わらないかもしれない。けれど、その場でAIに作らせたシナリオや計画を会社の上層が共有すれば、会社は変わるかもしれない。手元で戦略転換の筋と前に進む計画を作ったあとに、そういう時代になったという見方が浮かび上がった。
2つのゲームを通して、自社だけでなく顧客も競合もAIを使える前提で戦う、という見方を体で受け止めた。付箋を貼り替える速さとは別の世界で事業が組み立てられるなら、自分たちがやらなければ、競合がこのやり方で攻めてくる。
AIで事業を考える体験のあと、現実の問いに戻った。個人が一度使っただけでは企業の競争力は根本から上がらない。組織の多くの人が使えるようになることと、試して終わらず積み重ね、積み重ねたものを生かすことの2つが鍵になる。作りたいものがなければ、1か月で飽きてしまう。
プロジェクトの常設サイトは、毎月の更新をAIに任せられるよう、人ではなくAIが編集しやすい形で作られていた。既存のものをAI化するより、ゼロからAIネイティブで作るほうが扱いやすい実例だ。一方の交流の場は、安全と個人情報の観点から安心して使える既存のサービスを選んだ、という判断も全員で確かめた。
ゲームの制作の裏側では、動くか動かないかの確かめはAIのうちで完結する一方、字が小さい、色の差が弱いといった見た目の判断は人が担っていた。その線引きはまだ手探りだという話も、全員で聞いた。
セッション発言録 第2回・「始まりの物語」の節「インターネットが登場したとき、旅行会社もCDレンタル店も『ネットが大事だ』と分かっていて、こぞってデジタル化しました。でも、旧来のツアーをオンラインで売るだけの会社は消え、勝ったのはBooking.comやExpediaのように、ネット前提でまったく違う商品を組んだ会社でした。販売経路だけをデジタル化した会社は消え、デジタル前提で別のモデルを作った会社が勝った。AIでも同じです。」
セッション発言録 第2回・「始まりの物語」の節「戦略とは、競合がいて顧客が動くなかで、独自価値・競争優位性・模倣困難性 ―― モート(堀)をどう作るかを考えること。そのゲームのルール自体が、AIで書き換わっていくんです。」
セッション発言録 第2回・「全体の地図」の節「第1回は3層のうち一番下の[1A]人間の認知容量の解除を扱いました。今回は対極の第3層、戦略転換 ―― 特に[3A]顧客価値、[3B]顧客接点、[3C]差別化が、AIでどう変わるかを中心に扱います。」
セッション発言録 第2回・「導入・前回の続き」の節「前回は1日分のニュースでしたが、毎日トップ100件×30日分を貯め続けました。今月のトップ10を選んで、皆さんに『知っている/気になる』をリアルタイム投票してもらいます。1日分では面白くない。蓄積されて初めて、世界の動きが見えてきます。」
セッション発言録 第2回・「ニュース投票」の節「投票で上位に来たのは、SpaceXのIPO、そして『Fableが止まった』話。もし公開が一部地域に限られたら、日本の安全保障としてどうなのか、というところまで関わってくる。とはいえClaude・Gemini・OpenAIが競っているので、一つが止まっても他が使えるだろう、という見方もできます。」
セッション発言録 第2回・「ニュース/制作」の節「もう、何を作るかを指示するセンスのところに全てが集約されている。そして、それをちゃんと使う場所があるか。何を作るかを考えて、作って、展開する ―― その真ん中の“作る”が、昔は1年かかったものが、今や1日ちょっとで進んでしまう。」
セッション発言録 第2回・「戦略対抗戦」の節「ビフォーAIの引き出しが使えない前提で、新しい引き出しを増やさない限り、AI戦略は考えられない。他の人やAIの発想も数多く見て自分の引き出しを増やすこと、そして自分の頭で考える場数を踏むこと。発想力は、自分で考える数をこなすしかないんです。」
セッション発言録 第2回・「戦略対抗戦・ルール」の節「最終審査の軸は、深さ ―― 競争原理そのものを変えたか、まとまり、勝ち続けられるか、地に足。リアルタイムでは、効くか、できるか、新しいか。単にAIで効率が上がるレベルではなく、本質的に産業が変わるところを見ています。」
セッション発言録 第2回・「戦略対抗戦・裏側」の節「公平を期すため、Claude・Gemini・GPTの3つに評価させています。ステークホルダーもAIで動的に反応し、AIプロバイダーの動きまで再現する ―― それが動的に動くことこそ、AI戦略の難しさなんです。」
セッション発言録 第2回・「戦略対抗戦・展開」の節「今回は教育でやりましたが、小売、金融、モビリティ、医療、メディア、物流、農業、エネルギー、HR ―― 設定を変えればどの業界でも動きます。ある業界を考えると、隣接する産業もこう変わるはず、と引き出しがつながっていきます。」
セッション発言録 第2回・「手元のAIX演習」の節「シナリオが脅威であることは分かる。でも自社のケーパビリティと雰囲気と人員構成まで考えると、そう簡単にはいかない ―― これが多くの人の本音です。だから、現在の延長ではなく、未来からバックキャストして会社を作り変えることが大事になる。」
セッション発言録 第2回・「手元のAIX演習」の節「自分一人が分かっても会社は変わらないかもしれない。でも、今サッとAIに作らせたものを会社の上の人が共有すれば、会社は変わるかもしれない。そういう時代です。」
セッション発言録 第2回・「事業デザイン」の節「もはやAIは価値創造の前提です。自社にとっても、顧客にとっても、競合にとっても、AIを使えることが当然の前提になる。『顧客もAIに相談してから来店する』ような世界を前提に、事業を設計しなければなりません。」
セッション発言録 第2回・「事業デザイン」の節「架空だけれどリアルな4人の顧客をAIに生成させ、その人たちにバーチャルインタビューします。AIはこちらが書いた事業コンセプトを読んで答える。こういう“架空だけどリアル”を作らせるのは、AIがとても得意なところです。」
セッション発言録 第2回・「事業デザイン」の節「アイデア出しも、イメージの具体化も、バーチャルヒアリングも、プロトタイピングも、ブラッシュアップも、実際やってみると結構な速さでAIで進む。たった10分とは思えない量のことができる、というスピード感を体感していただけたと思います。」
セッション発言録 第2回・「戦略対抗戦・事業デザイン 両方」の節「このゲームは、まずClaude(チャット)でコンセプトを壁打ちし、引き渡しファイルにまとめてからClaude Codeに実装させ、GitHubでデプロイしています。一方は3〜4日、もう一方は仕事の合間に約1週間。昔なら1年かかったものです。一行もほぼ自分では書いていません。」
セッション発言録 第2回・「制作の裏側」の節「動く/動かないのテストはClaude Codeで完結します。でも、字が小さいとかコントラストが低くて読めないとか、美的なセンスは人間がやって初めて分かる。どこまでをAIに任せ、人間がどう抜けていくのか ―― 品質保証の観点では、まだ手探りです。」
セッション発言録 第2回・「事業デザイン・審査」の節「AIで何かを作ると、これが起きるんです。AIの回答は、たくさん殺到すると止まってしまう。止まったとClaude Codeに教えれば原因を追求して直してくれますが、同時アクセスの負荷はAIシステムの現実です。」
セッション発言録 第2回・「スケール・戦略インパクト」の節「個人が一度使ってみただけでは、企業の競争力は根本的には上がりません。組織の多くの人が使えるようになること。そして、関心が高い時期に何度か試して終わるのではなく、継続的に積み重ね、積み重ねたものを活かすこと。作りたいものがある人には無限ですが、なければ1か月で飽きてしまう。」
セッション発言録 第2回・「振り返り」の節「ポストイットを貼り替えるのとは、スピード感が全然違う。この頭の動き方で戦っていかなければいけないし、自分たちがやらなければ、競合がこのやり方でやってくるかもしれない。AI前提の事業価値や戦略は、大きく姿を変えていきます。」
セッション発言録 第2回・「導入・常設サイト」の節「この常設サイトは、毎月の更新をClaude Codeに全部任せられるよう、人間用のUIではなく、AIが最も編集しやすい形で作ってあります。既存のものをAI前提に作り変えるより、ゼロからAIネイティブで作る方が、今の時代は遥かに扱いやすい。一方コミュニティはセキュリティの観点でClaudeに作らせず既製サービスを選ぶ ―― これも『AIを使う/使わない』の判断の一例です。」
セッション発言録 第2回・「次回案内」の節「第1回は実装、第2回は戦略転換だったので、次は真ん中の組織レイヤーを。集団の暗黙知を集合知へ昇華させる(SECIモデル)、『解くべき課題』と『持っている能力』をAIで組み合わせて人材配置を最適化する、AI推進派・懐疑派の社員やステークホルダーの立場をAIに代弁させて人材戦略を考える ―― これらをミニ組織に見立てたゲーム仕立てで。第4回はもう一度実装に戻って『物理世界との接地』、Sense→Think→ActをLLMでどう扱うかを、警備巡回や画像でのAI接客といった体験で考えます。」
セッション発言録 第2回・「振り返り(7/10)」の節「前半の戦略対抗戦は、白紙から戦略を考えるのが本当に難しかった。一方、後半の事業デザインは、いろんなツールという足場があるからこそ、人は考えられる。AIの役割をどこに“足場”としてはめていくかで、我々の働き方や未来の作り方が変わる ―― その全然違う手触りを、自分で作りながら早めに体感しておくことが大事なんです。」